鬼殺隊は、いにしえから存在する、鬼を狩るための部隊だ。人間を守るため、人を食糧とし、人間よりも遥かに高い身体能力と治癒力を持った鬼に立ち向かう。

鬼殺隊に入隊できるのは、最終選別を通過した者のみ。炭治郎は最終選別に合格するため、鱗滝左近次の指導の元、毎日修行をしていた。

鱗滝の罠を潜り抜ける山下りは、日に日に難易度が上昇。引っかかると死んでもおかしくないような罠が無数に繰り出されるようになっていた。

後に刀の素振りが追加され、受け身、呼吸法、水の型と、幾つものことを鱗滝から学ぶことになる。

この頃には、禰豆子が目を覚まさなくなってから半年が経っていた。炭治郎が禰豆子の異変に気付いてすぐ、医者を呼んで状態を確認してもらったのだが、大した異常はないのだと言う。

しかし、寝たきりの禰豆子を見ていると、炭治郎は、もし朝起きて禰豆子が死んでいたらどうしようと不安になるのだった。

修行が始まって一年。鱗滝は突然、「もう教えることはない」と炭治郎に告げる。そして、炭治郎の背丈よりも大きな球状の岩を目の前に、「この岩を斬れたら、最終選別に行くのを許可する」と一言残し、去って行ってしまった。

今の炭治郎に岩を斬れるはずもなく、その日から特訓を始める。だが、それから半年経っても、岩を斬れる気配は一向になかった…。

そんなある日、炭治郎の前に、どこからともなく錆兎（さびと）と言う名の青年が現れた。狐の面で顔を隠したその青年は、真剣を手にした炭治郎に、かかって来いと告げる。

炭治郎は全力で立ち向かうものの、錆兎の一振りで倒されてしまう。気絶した炭治郎は、夜まで目を覚ますことはなかった。

炭治郎が目を覚ますと、そこには知らない少女がいた。その子の名は真菰（まこも）。錆兎も真菰も孤児であり、二人とも鱗滝によって育てられたのだと言う。

それからと言うもの、炭治郎は、真菰のアドバイスを受けて鍛錬を積みながら、錆兎と勝負をして負けるという日々を繰り返していた。

半年後のある日、炭治郎が錆兎に挑みに行くと、錆兎はいつもの木刀の代わりに真剣を構えて待っていた。錆兎は、炭治郎を見えるや、「やっと男の顔になったな」と告げる。

勝負は一瞬で決まった。炭治郎の刀が、錆兎よりもほんの一瞬だけ早く錆兎を捕らえたのだ。

錆兎の狐の面は真っ二つに割れ、錆兎の顔が露わになる。錆兎は笑っていた。泣きそうな、嬉しそうな、安心したような笑顔だった。

次の瞬間、濃霧が立ち込める。気づくと、錆兎と真菰は消えていて、錆兎の面を斬ったはずの刀は、あの大きな岩を真っ二つに斬っていた…。